遺贈
遺贈とは、被相続人(故人)が遺言によって、財産の全部、または一部を、「法定相続人・第三者」に無償、または一定の負担を付けて譲渡することで、遺言によって財産を与えた者を「遺贈者」、財産を譲り受けた者を「受遺者」といい、「包括遺贈・特定遺贈」の2種類に分類されます。
また、遺贈は被相続人(故人)の最終的な意思表示ですので、相続分に対して優先されますが、例え遺贈によって財産を譲渡した場合でも、遺留分を侵害されている場合は、遺留分権利者は遺留分減殺請求を主張し、自分の権利を受遺者に請求することができます。
※遺贈は寄与分に対しても優先されます。
※遺贈者より先に受遺者が亡くなった場合は遺贈の効力は生じず、受遺者の地位が相続することもありません。
遺贈が行われる場合 | |
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遺贈は以下のような場面で行われています。
◎内縁の妻に財産を残してあげたい
◎子供の配偶者に財産を分け与えたい
◎生前に療養、看護などでお世話になった方に財産を分け与えたい
◎お世話になった団体に寄付したい
以上のように、生前にお世話になったが、相続権のない個人、団体に対して財産を託したい場合に遺贈が行われる場合が多いようです。
特定遺贈 | |
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特定遺贈とはその名の通り、「ある特定の財産」を具体的に指定して譲渡する遺贈のことで、遺贈といえば一般的にはこの特定遺贈が利用されています。
具体的には・・・
・「Aの土地はBさんに遺贈します」
・「金○円をCさんに遺贈します」
・「Dの土地100坪のうち50坪をEさんに遺贈します」
・「F株をGさんに遺贈します」
など・・・
包括遺贈 | |
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包括遺贈とは、具体的な財産を指定するわけではなく、「遺産の割合を指定」して遺贈する方法です。
具体的には・・・
・「遺産の全部をAさんに遺贈する」
・「遺産の1/2をBさんに遺贈する」
など・・・
遺贈の放棄 | |
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遺贈は被相続人(遺贈者)の一方的な意思表示によって行うことが出来ますが、財産にはマイナスの財産が含まれている場合もあり、また財産を譲り受けるとさまざまなトラブルなどに巻き込まれる可能性もあるため、受遺者はこの遺贈を放棄(拒否)する権利が認められています。
また遺贈の放棄は特定遺贈と包括遺贈では異なりますので注意しましょう。
◎特定遺贈の放棄
特定遺贈を受けた受遺者が遺贈を放棄したい場合は、「遺贈を放棄する」旨を相続人に対して伝えることによって行い、特に家庭裁判所などに申し立てる必要はありません(配達証明付内容証明郵便で行えば良いでしょう)。
ただし、受遺者が遺贈を受けるのか放棄するのか分からない場合は、相続人の相続分が確定しないため、相続人は受遺者に対して、「相当な期間を定め、承認するか?放棄するか?」を催促することができ、その催促期間に放棄する旨の意思表示がなければ遺贈を承認したものとみなされることとなっています。
◎包括遺贈の放棄
包括遺贈の放棄は、遺贈者が亡くなったことを知った日、または、自分に対して包括遺贈があったことを知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に放棄の申述をし、この期間内に放棄の申述をしなかった場合は、承認したものとみなされます。
遺贈と死因贈与 | |
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遺贈と死因贈与はよく混同されますが、どのような点が違うのでしょうか?
◎遺贈
遺贈は被相続人(遺贈者)の一方的な意思表示によって行うことができ、受遺者の意思表示は関係ありません(遺贈の放棄はできます)。
◎死因贈与
死因贈与は被相続人(遺贈者)と受遺者が、生前にあらかじめ財産を譲渡する契約(合意)を交わしていますので、生前に受贈者の承諾が必要なものです。
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